磁石と磁石の間(ESSLLI2018@ブルガリアに行ってきた話後編)
- 2018/08/26
- 19:00



こんばんはべりももです。更新頻度高めですが、忘れないうちに言語学・論理学の国際サマースクールESSLLI2018@Sofia, Bulgariaに参加し、研究発表をしてきたお話の後編です。
・2週目初日。月曜。発表前日なので、まずは発表予定の2限のワークショップの偵察に行く。初日は招待講演でWord DisambiguationのRichard Johanssonさんの発表だった。自分の発表でもRichardさんの研究について言及せねばと思ったので、慎重に聴いた。
お昼はESSLLIでお友達になったAndreasさんとランチ。Andreasさんの高度な拝聴力に甘んじてしまったが、カジュアルな英会話は発表とはまた別の難しさがある。なんというか口語的な英語がすらすら出るようになりたい。でも、日本語でもあまり自分から話すタチじゃないから、カジュアルな英会話の問題はそこだけじゃない気がする。
3限はKilian Evang先生のCross-lingual semantic parsingの講義を聞く。Kilian先生の講義は、自分の研究テーマと関連が高い内容で、この2週間の講義の中で一番ちゃんと聞いたし勉強になった。この日のKilian先生の講義では、自分の発表に出てくる言葉の発音と言い回しを確認した←
土日がエクスカーションでへとへとであまり作業ができなかったので(こういうとき、やっぱり体力があるひとはそれだけで強いなあと思う)、3限後は部屋にひきこもりひたすら修正と発表練習をして、自分を追い込んだ。一時期はエクスカーションが長引いて飛行機に間に合わない可能性があるという危機に見舞われたM先生(M先生は、1週目だけの参加だった)から、無事に家に着いたとの連絡をいただき、少し安心した。しかし外で食事する気力はやはりなく、スーパーの食べ物で済ませる。夜はみんなに発表練習を聞いてもらい、さらにその後も発表練習をし、寝ながらも発表原稿をぶつぶつ言っていたような気がするか、もしくは、そういう夢をみた…。
・火曜。朝から発表練習。3分前までまずいなーという気分しかなくて、ひたすら詰まるポイントを見直していた。これも、どんなに準備してもテスト開始直前まで教科書を見直してしまう昔からの自分の習慣の一つな気がする。だって直前に見直したものが結構試験に出たりするじゃないですか…。3分前になってさすがにあきらめて、なるようになるという勢いで発表した。わかってはいたけど、実際に、なるようになった。できるかぎり発表したし、できるかぎり質疑も対応した。終わって落ち着いて振り返ると、まだまだ改良の余地はあると思うけど(特に質疑)、やっぱり良い経験の1つになったと思う。
・Best paper award受賞ということで、オーガナイザーのIrina先生(オーガナイザーの目印のオレンジのTシャツをだいたいいつも着ていたので、我々からはオレンジのおばさんと呼ばれていた。←失礼)から賞状と、謎の景品セットをいただく。トートバッグからブルガリアの名物菓子のロクム(ちなみに、イスタンブール空港にはトルコ名物としてロクムが売られていた。量も種類もイスタンブールの方が多かったんだけどロクムは結局どっちの名物なのか?どっちでもいいか…。)と、謎の香辛料の瓶を取り出すオレンジおばさん。家族にあげるとありきたりなことをぼやいたら共著者の人数分香辛料の瓶が入ってるから共著者に分けて!と言われた。謎のこだわりをアピるオレンジおばさん。瓶から香辛料が漏れていて、トートバッグからもロクムからも香辛料の香りが漂っていた。結局最終日には、賞状だけ持ち帰ることにして、トートバッグは泣く泣く部屋のhousekeepingのお礼に残すことにしたのだが、漏れていた香辛料の匂いは今でも本当によく覚えていて、匂いというものはたしかに記憶に強く残るものらしい。しかし、こだわるならその辺にこだわってほしかったよ、オレンジおばさん…。
・やっとお昼のあと公園を散歩(写真1枚目)したり、午後の講義に集中する余裕ができた。3限は月曜と同様Kilian先生のShift-reduce parsingの講義を聞き、Student Sessionも聞いて4限は去年のEMNLPのチュートリアルも担当していたというIvan Hulic先生のWord vector space specializationの講義を聞く。夜は皆に打ち上げをしていただいた。ありがとうございました。ここまでで食べた料理はもちろん全部美味しかったけれども、ココナッツミルクとホワイトチョコを液体窒素で固めたスターウォーズというデザート(名前につられてつい頼んだ。写真2枚目)がとても美味しかった。
・もう発表も終わったし、ブルガリアで色々な刺激を受けている間に、博士卒業後の研究計画をある程度立てようと試みたら、余裕があったのもつかの間で、いつの間に8月は後半に突入しているし、意外と余裕がなかったことに気づく。余裕がなかったといえば、いつも講義の5分前くらいには着くように準備していたのだけど、日本で培ってきた距離感覚がブルガリアでは通用しないのか、ソフィア大学の廊下(写真3枚目)の距離感がいつもつかめず、講義室には講義開始ぎりぎりに着いていて、なんだか一事が万事、こんな感じで余裕がなかった。そんな感じでKilian先生の講義、Student Session、Ivan先生の講義を聞きつつ、研究計画を考える。学振やAIPチャレンジなど、研究計画を書く経験も少しずつ積んできていると思うものの、やはり難しい。具体的すぎると視野が狭いし、抽象的すぎると現実味がないしで、こういう磁石と磁石の間のような、つかず離れずの距離が答えとして求められる問題が世の中には多すぎるのではないだろうか。そしてそういう問題に対処するための距離感覚を備えるためには、きっと自分自身の中に余裕を持っていなければならないのだ、とまで考えるのは、少し大げさかもしれない。
・あっという間に最終日。最終日にして初めてホテルの朝食ビュッフェ(朝食なしにしていた)に行ってみたら、噂通りめちゃ種類が豊富ですばらしかった!その場で焼いてくれるオムレツも美味しかったし、巣みつという、はちの巣つきのはちみつが本当に美味しくて、調子に乗ってヨーグルトにはちみつをかけて2杯も食べてしまった。ホテルのチェックアウトを済ませ、カフェで休憩したのち、ソフィアを歩こうということに。そうそう、これくらいのレベルだと思ってたんですけど、エクスカーションというものは…。
教会を見たり、お土産を見たり、マーケットを見たりする。マーケットはにんじんが1キロ1レフ(2度目だが、65円!)と驚愕の安さだったが、すこしマーケットの横を見るとうら寂しい街並みが垣間見られて、私たちが泊まっていたホテルの周辺は栄えている方で、実際のソフィアは結構うら寂しい街だということを改めて知った。それとは裏腹に、地下鉄の駅はすごく綺麗で、謎の陽気な音楽が流れていて、ディズニーシーのモノレールみたいな広さと作りだった。
・帰りも深夜便で、イスタンブールを経由して帰国。帰りも深夜便のパターンは初めてで、朝はゆっくりできたからよかったけど、もう帰りも帰りのときはどろどろというか一刻も早くお風呂にいれてくれ状態だった(笑)ということでうまい締めの言葉はとくになく(笑)、無事に成田に着いたのであった。ありがとうございました!
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