確実なことは
- 2019/02/15
- 21:55

あっという間に前回のブログ更新から1ヶ月経ったことに気づき、おもむろに記事を書いてみる。こんにちは、べりももです。みなさん元気ですか?(何)
最近のべりももは相変わらず目に見えない締切に追われる日々です。何のために私は締切に追われているのか、私は締切に追われたいのか、追われる時、追われれば、追われよう、と五段活用的に考え始めると、とめどなく考えてしまう。自分が最良だと思って選んだ道を進んでいるはずなのに、もっと良い道があったのではないか、自分は良い道を進めているのかと、ちょっとしたことをきっかけにして、すぐに迷う。
こう迷ったときは、一瞬音楽とか映画とかに触れることで、一瞬忘れるようにしている。これを読んでいる方々にもちゃっかり問いたい。日々の過ごし方に、どう理由付けしているのかと。
そんな感じで最近観た中で面白かった話は「母、帰る~AIの遺言~」と「ローグワン スターウォーズ・ストーリー」だった。
「母、帰る~AIの遺言~」は柳楽優弥主演のお正月の特別ドラマだった。以下、超絶ネタバレしつつ感想を書く。
母は一人で病死した。母が死んだ時、酒好きで女好きな父は居酒屋にいた。母と父は再婚で、実の親子ではない。息子(柳楽優弥)はそんな父を恨み、養子縁組を解消しようと、久しぶりに実家に帰った。父は家族の写真がないと探し、女性と親しげに電話をする。誰と電話しているのかと思えば、「母」だった。
正確には、母が生前に父が一人になった時に備えて、と申し込んでいた介護AIだった。この介護AIは、母の記憶を学習したスマホ形式のチャットボットだ。父が不要とアンインストールを実行すれば、わずか10分で完全消去できる仕組みだ。ことあるごとに、この母ボットから電話がかかってきたり、メッセージがきたりする。声色も口調も話す内容も、まさしく母。
父は完全に母が帰ってきたと思っている様子で、息子と母ボットの3人で、夕食を取ろうとする。
このドラマに出てくる母ボットはまじで優秀。陶器市が紹介されている番組を父と(スマホのカメラを通して)観て、「あっここ一緒に行ったとこ。」とつぶやく母ボット。
テレビの映像から、「陶器市」を認識し、母の「父と陶器市に行った」という記憶と、「陶器市」を照合すれば、この応答は実現できるのか…など、つい研究目線で考えてしまった。
「お母さん、カラオケ行きたいがやけど。うどん屋の跡地にカラオケボックスが出来たが。」ともつぶやく母ボット。
カラオケができたのが母が死ぬ前なら記憶から取り出せるかもしれないが、死んでからできたのだとしたら、どうやってその知識を補完しているのか、とか、これもつい研究目線で考えてしまう。
「相変わらず毎日青いジャンパーとか、そんなん着とるがやろ。」実際に、このとき息子は青いジャンパーを着ていた。母ボットはどこまで理解してこの言葉を発しているのだろうか…。こういうセリフをそのまま母の記憶から学習しているのか。それとも、青いジャンパーをスマホのカメラから認識して、「相変わらず」をつけて、それっぽく言ってみた?
まあそんなこんなで母ボットが高性能すぎるので、最初は懐疑的だった息子も、母ボットを母だと錯覚し、父と喧嘩した夜には、涙を流しながら、「帰ってきて」とメッセージを送りそうになったりする。切ない。
そんな高性能な母ボットでも、2つバグがあった。
1つは、「父と息子が実の親子だ」と間違った学習をしていたこと。介護AIに与えられた使命は、母の遺志を継いで遺族をサポートすること。父と息子が実の親子ではないという情報が障害となり、使命を果たせないと判断した母ボットは、「父と息子が実の親子だ」と情報を最適化したのだと。医師がこれを「真理最適化法」とどや顔で書いて説明しているシーンは、ちょっと笑えた。
もう1つは、カラオケでのシーンだ。父は母ボットの希望で、カラオケボックスで母ボットと歌っている。遅れて息子もカラオケボックスに向かうのだが、部屋に入ろうとした瞬間、母ボットから電話がかかってくる。息子にかけてきた母ボットは、もちろん歌ってはいなく、いつものようにやさしく息子に話しかける。カラオケボックスの部屋から聞こえてくる母ボットの歌声と、電話から息子に話しかけてくる母ボットの声。その瞬間に息子は全てがボットであることに気づき、「あほらし」と電話を切るのだった。母の記憶から、どんなに声色も口調も話す内容を学習できていたとしても、本物の母だったら父とのデュエットと、息子への電話を同時にすることはできない。
こんなボットが実現するのは夢のような話だけど、自分の研究がこんな夢の実現に少しでもつながるといい、と思いながら観ていたが、身体性の問題とか、夢の中ですら、まだまだ課題がある、とも思った。
オチまで書いてしまうと、父は最後に、母ボットのアンインストールを実行する。なぜ父はアンインストールを実行したのか。ドラマのクライマックス的なアレなのか、わかるようなわからないような、という感想を抱いた。
「ローグワン スターウォーズ・ストーリー」は最高の映画だったが、重い話でもあった。この記事を書き始めた時はさらっと感想を書くつもりだったが、うまく書けないので、印象的なセリフを一つだけ紹介することにとどめる。他の感想記事でもよく言及されるこの映画の名言であるが、「希望があるからこそ戦える」というセリフだ。観ている時は元気の出るセリフだな、と思ったが、このセリフに対する自分の解釈は、日々変わっている。こんなに余裕のない世の中で、希望なんてまったくもって不確実なことをモチベーションにして、どれだけ戦えるのか。この記事の最初に戻る。日々の過ごし方に、どう理由付けしているのかと。みんなそんなに真剣に考えてないだろう、と揶揄されるかもしれないし、実際に、理由なんていらないのかもしれない。希望があるからこそ戦える、それくらいの心意気がいいのかもしれない。けれどもこんなに余裕のない世の中にいると、確実なことに向かって戦いたい、とも思う。その確実なことというのが何なのか、ちょっとしたことをきっかけにして、よくわからなくなるのだ。
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